「菅野ひろゆきメモリアル-Device to the skies-トリビュートブック 」レビュー

「EVE burst error」や、「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」など、
美少女ゲーム史に輝かしい名を残したクリエイター、
故・菅野ひろゆき氏の軌跡を追うファン必見の1冊！
業界人から見た菅野氏はどのような人物であったのか？どのような信念を持っていたのか？東浩紀氏、子安 武人氏をはじめとした著名人のインタビューをはじめ、たっぷりと読み応えのある対談に思わず時間も忘れて読みふけってしまいます。
更には幻の作品となってしまった「ミステリート2」の遺稿の一部も公開！製作過程やコンセプトなどを生で見ることが出来る、またとない機会です！！また、カーネリアン先生、七瀬葵先生、フミオ先生などなど、人気イラストレーターのファンイラストも収録し、見所抜群！

菅野ひろゆき氏の全てのファンの方、
ぜひともこの1冊をお見逃しない様に！



個人的感想と少しだけ内容を抜粋
最近のアニメやゲーム、
今のクリエーターたちに間違いなく影響を与えた存在、
菅野ひろゆき氏。
時代を作ったと言っても過言ではない彼が、
どのような人物だったのかを紐解く一冊。

呼んでいて痛々しかったのが、当時の病気の症状だろうか。
筋肉から動脈が剥離する大動脈乖離・・・・
5回の手術最終的に人工血管に・・・・
しかし、病状は安定せず何度も人工血管が剥離・・・・
それにより血栓ができ脳が血液で圧迫され膨れてしまう。

突発性だったようである。
そんな症状のため何度も仕事中に意識を失い倒れてしまい、病院へ搬送・・・・入退院の繰り返しだったという。

以下・インタビュー抜粋（参考程度）

評論家・東浩紀　談
「一番最初にやったのはセガサターン版の「ＥＶＥ　burst error」だった。」
「ＹＵ－ＮＯは非常に好きな作品であり、ＹＵ－ＮＯの後に来るゼロ年代のいろんなエンターテイメントのあり方を予見していたと思う。」

分岐の先にある最終的な一本道のストーリー、ゲーム構成
「ひぐらしのなく頃に」もＹＵ－ＮＯと非常に良く似た構造をしている作品。

竜騎士０７が「ＹＵ－ＮＯ」に影響を受けたかはしりませんが、分岐型の先に最終的に一本道になるというゲームの進化みたいなものを「ＹＵ－ＮＯ」って予見しているんですよ。

そういうところもあって、これはいまでもやっぱり人々にプレイしてほしいっていうか、面白くプレイできる作品だと思います。

声優・子安武人　談
僕が菅野さんと知り合ったのはＥＶＥ　burst errorだった。
その時は音響監督がディレクションをしていたので直接・・・菅野さんからどうこうという指示はなかったような・・・・。

その後、探偵紳士で再度呼んでいただいた時、どういう風にやりましょうか？と相談したら「小次郎でッ！」と言われたのは今でも衝撃でしたｗ

自分の演技プランを用意していたんですが、「小次郎でッ！」「まんまでっ！」と言われて・・・まんまかぁ～と思って、恐らく菅野さんの頭の中では色々な葛藤が後ろにあって「よし！わかりました！じゃあ！小次郎でいきます！」とお答えしました。

悪行役は子安さんしかいない！
そう言ってもらえてすごく嬉しいです。
未だに好きな役だったので、家にドリキャスもあってドリキャスの中に入れっぱなしで常に遊べる状態です。

僕は探偵ものが好きなんです。これはゲームだから、多少ファンタジックな世界を表現しても許されるんだけど、そのギリギリのラインを表現するのがとても上手かったと思います。絶妙のラインていうのかな。
菅野（兄）「小次郎を超えるキャラクターを作りたいというのは彼の中にありました。最終的には小次郎と悪行双麻を戦わせたかったと言っていました。」
子安「おおおおおおお！！そんなこともあったんですかあああああ・・・・・残念だ・・・・・・（悔）」

忘れられないようにしていくには、結構残っている人の役目でもある。
単純にファンの人、結構多いじゃないですか、そういう人たちが一人減り、二人減りしていった中で「いつかは消えてしまう。」んではなくてやっぱり、「あっ面白い！」と言ってくれるファン層も作っていけるわけだからどんどんそういうものを場に出していってほしいですね。作品をね。
子安「アニメはやらないんですか？」
江島「アニメいいですよね。菅野作品は世界感が深いのでアニメ化をしても良いと思うんですよ。」
子安「大人アニメってくくりでやってほしいですね。
子どもドキドキしちゃうようなｗ」

スタッフ談
ＹＵ－ＮＯは実は本来のプロットの半分しかゲーム化できていなかった。それについて菅野はずっと悔やんでいました。

亡くなる直前まで彼はミステリート２の続編のプロットを書き進めていた。ほとんど完成間近までプロットは進んでいたが、残念です。なんとか形に残せれば・・・とは考えてはいます。私財を投げ打ってでも・・・

シナリオライター・打越鋼太郎
超えられない壁

よくファンの方から「やはりＹＵ－ＮＯは偉大だった！打越は菅野の足元にも及ばない！」という意見を見ます。
これはごもっともでありまったく持って反論の余地はありません。
思えば私は、ずっと菅野さんの背中を追いかけてきました。でもその背中すら見えぬほど・・・・私と菅野さんの距離は開いています。

私としてはＹＵ－ＮＯを意識して作ったわけではないんですが、よく比較対象にされてしまうようです。
これは近年に限ったことではなく、デビュー作からすでに「ＹＵ-ＮＯの方が遙かに面白い！」と言われ続けてきました。
私はこれらの書き込みにさほど落胆はしてはいません。むしろ嬉しく思ったくらいです。

当時業界２年のぺいぺいの駆け出しのひよっこがあの神と呼ばれている男と比べられるなんて！
その後も私の作品はことあるごとに菅野さんの作品と比較されました。
菅野＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞超えられない壁＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞打越
のような書き込みを見る度に、確かに私の前にはいつも超えられない高い壁が存在していました。

「これは新しいぞ！」と思った事は全て菅野さんがすでに１０年も前にやっている・・・・。
一度や二度ではありません。

その才能をまざまざと見せつけられたのが「ＥＶＥバーストエラー」でした。
この作品は今でも名作であり思い返しただけでも目頭が熱くなり、全身に鳥肌が立ち、胸が締め付けられる思いにかられてしまう。


そんな名作の最新作の筆をとらせていただけることになった時、一ファンとして汚したくないという思いでかなり迷い葛藤しました。でも、自分なりの誠意を込めれば、少なからずファンの方に伝わってくれるかも知れないと思い決意しました。例えそれが超えられない壁でも。有り難いことにファンの方から「よくやった！」「十分健闘した！」という意見も頂きましたが、やはりどう見てもバーストエラーとは比べものにならない出来でした。

その時、改めて思ったんです。菅野ひろゆきという偉大な存在には永遠に追いつけないんだな・・・と。

シナリオライター・大和環
私がここで果たして顔を出すのが相応しいのか不安な気持ちもありますが、こうして参加させてもらったことで様々な思いがします。
私の手がけた作品は彼にかかわる作品の続編ばかりでした。彼にとってはあまり良いものではないと私は感じていました。以前からお会いしたいと思っていましたが、この仕事にかかわったことでもう会えることはないだろうと覚悟していました。それでも周囲の方々は気を使って色々彼について教えてくださりました。永遠に会えることはないとわかった日も十数名の方たちがその知らせを私にくれました。
遠く離れていても彼の影響は私の中で生き続けていると再確認しました。

以下・・・感想
改めてこの本を読んで菅野さんのすごさを垣間見た気がする。
東さんの最近のゲームに与えたＹＵ－ＮＯの影響なんかはなるほど・・・
確かに面白い見解でした。

シュタインズゲートの作者も実は菅野さんと同世代で何かしら影響を受けているんだと思いますね。

あと意外だったのが、ＫＥＹのスタッフにはかなり菅野さんの影響を受けた人がいた。ということ。（スタッフ談より）確かに影響を受けていると思うところはいくつかあったんだよね。

つか東さんの菅野さんにハマルきっかけが自分とよく似てたｗ
自分もセガサターン版を手にとって、どんなのかやってみようと思ってはまってしまって、調べまくって菅野ひろゆき氏に行き着いたんですよね。
子安さんのイヴ収録時に菅野さんがいたというのも意外だった。もう退社した後だったと思ってた。

しかし、小次郎を超えるキャラという話があるように、菅野さん自身も小次郎はかなり完成されたキャラで目標だったように感じますね。
ＹＵ-ＮＯは未完成だった事も残念だっただが、実はミステリート２プロットやキャラの設定はほぼ完成間近まで行ってたことを考えると残念だ。なんとか形に残してほしいよ。

打越さんのインタビューもすごく胸が打たれる思いだった。
確かに比べられるのは仕方がないが、僕は打越さんは良い仕事をしていると思うし、菅野さん亡き今二代目というか後がまをになっていると思うんですよ。

そして最後にＥＶＥを駄作化してしまった戦犯の大和・・・・・
確かになんで呼ばれたのか・・・・・
申し訳ない感１００%の文面・・・・だが俺は許さない。
絶対にだ・・・・お前はＥＶＥを駄目にした！！

まー恨み言は置いといて・・・・・
菅野さんを深く知る良い本だと思う。
興味のある人は読んでみると良いでしょう。
最後に子安さんも東さんも言っているように・・・

忘れられないようにしていくには、結構残っている人の役目でもある。だから是非、菅野さんのＹＵ－ＮＯやＥＶＥをやってほしいね。セガサターンを買って。

実はセガは菅野作品やギャルゲーに非常に寛容でサポートもしてくれたそうです。逆にソニーはエクソダスギルティーの移植時、結構厳しかった見たいですね。

色々な人がインタビューでも言ってるんですが、これはセガサターンという環境だったから出来た。セガサターンはそういういう意味で本当にいいハードだった。と・・・
本当にそうなんですよ。だから自分もセガサターンが大好きなんです。

もしこれを見てちょっと興味沸いた・・・と思ったら是非中古でセガサターン買ってプレイしてみてください。
セガサターンのグレーなら今中古市場じゃ１４００円くらいで買えますし。
（自分はグレーを１４００円白サターンを２０００円で購入。）

ただユーノはプレミアついてるので、専門のゲームショップだとかなり高値で売ってます。ＥＶＥはかなり安く買えます！ＰＳ２版やリメイク版、続編はオススメしません！

俺はずっと覚えてるぞ・・・俺の神を！！

～リンク一覧～
デザイアのレビューはこちら・・・
http://uewomuitearuku.blog.shinobi.jp/Entry/502/
EVEのレビューはこちら・・・
http://uewomuitearuku.blog.shinobi.jp/Entry/210/
YU-NOのレビューはこちら・・・
http://uewomuitearuku.blog.shinobi.jp/Entry/410/
エクソダスギルティーのレビューはこちら・・・
http://uewomuitearuku.blog.shinobi.jp/Entry/819/

～追悼記事はこちら～


訃報・【訃報】EVEやYU-NOでお馴染みの作曲家・梅本竜氏死去


http://uewomuitearuku.blog.shinobi.jp/Entry/1560/


訃報・EVEやYU-NO の菅野ひろゆき氏が脳内出血のため死去

http://uewomuitearuku.blog.shinobi.jp/Entry/1559/


菅野ひろゆき氏、梅本竜氏、追悼・・・

EVEとYU-NO を作った男たち


http://uewomuitearuku.blog.shinobi.jp/Entry/1563/