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解説
不思議な過去を持つ青年と、人魚伝説に魅せられた男たちが織り成す、愛と神秘のSFファンタジー。監督・原案は「河童」の石井竜也。石井の原案をベースに して「PICNIC」の岩井俊二が書きあげた原作を、「河童」の末谷真澄が脚色した。撮影は「ルビーフルーツ」の長谷川元吉が担当している。出演は 「KISS ME」の藤竜也、「Helpless」の浅野忠信、「ユーリ」の江口洋介、「エコエコアザラクII」の吉野公佳ほか。オーストラリアで大勢の現地クルーと ともに撮影された。
あらすじ
1888年の香港・邪侖屈で人魚を目撃したと、イギリス人博物学者のグスタフ・オージュボンはその著書の中で語っている。それから一世紀が経った現在の オーストラリア、進化の過程で海に帰った人類の一部が人魚になったというホモ・アクアレリウスの学説を唱えて日本の学界を追われた佐古田教授のもとに、海 原密という学生がやってきた。彼は恋人の亜久里を海難事故で失い、自分だけが10日後に助かるという不思議な体験を持っていた。その時の記憶を失った密は 自分が助かったのは人魚のおかげではないかと考え、その答えを佐古田に求める。しかし、佐古田は彼の話に耳を傾けようとはしなかった。ある日、友人の飯田 と海に出た密が行方不明になり、1カ月後に漁船の網に生きたまま引き揚げられた。密の空白の10日間を追っている元“ネイチャーワールド"誌の記者・羽岡 は、彼がホモ・アクアレリウスと密接な関係にあるに違いないと、密が収容された病院に佐古田を向かわせる。果たして密の体には異変が認められ、手には水か きが、首の後ろにはえら呼吸の穴が見つかった。人魚に会ったことがあるという長老タオの証言を得た佐古田は、ホモ・アクアレリウスの存在を確信し、密の失 われた記憶を催眠療法で回想してみることにした。密は空白の10日間に、ホモ・アクアレリウスの亜久里と交わりを持っていたのだ。市長選に出馬を表明して いるノリスは、密を利用して仲間を捕らえようと企んだが、佐古田と羽岡の活躍によって計画は失敗に終わる。催眠療法がきっかけとなってホモ・アクアレリウ スの記憶を呼び戻した密は、亜久里とともに海へ帰っていった。
(こちらは原作のウォーレスの人魚)
個人的感想
原作が凄すぎです。岩井監督の生物進化の歴史への解釈が本当にあり得そうで胸躍る。皆さんはダーウィンの進化論が実はダーウィンの物ではないと言うのをご存じでしょうか?ダーウィンは進化論を執筆中、実はもう一人同じことを論文に書いていた人物がいたのです。それがウォーレスでした。ウォーレスはダーウィーンよりも遙かに進んだ進化論を研究しており、感銘を受けたダーウィンはその進化論を使わせてほしいとウォーレスに交渉。ウォーレスは快く彼に自分の進化論を託しダーウィンが発表することとなりました。(小説に書いてある内容ですが、これ実は事実。)
そうダーウィンの進化論には書かれていないウォーレスの進化論というのは存在したのです。
ミッシングリンクをご存じでしょうか?原人と呼ばれるものから新人類である人間(ホモサピエンス)への進化の段階でどうしても繋がらない謎がある。それがミッシングリンク。ミッシングリンクは色々な仮説が上げられています。ある物は宇宙人が介入した。とかある物は突然変異とか、しかし、この作品では違います。もっと論理的。
クジラやイルカは実は元は海に住んでいて、進化の過程で一端陸に上がり、そしてまた海へ帰りました。
人間が何故他のほ乳類に比べ体毛が少なく、そして、水への抵抗も少ない身体付きをしているのか、それは・・・・人間は一度海へと帰ったからでは?というのがこの物語の面白いところ。
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(画像は映画のホモ・アクアレリウ ス
の模型)
ホモ・アクアレリウス・・・・
いわゆるこれが人魚伝説。というわけです。
もしホモ・アクアレリウスが今でも生きていたら?そして人間と交配していたら・・・・・?この物語はそういう話しです。そしてこの進化論の話がホントに凄いし面白い!映画と原作は内容がかなり異なっていますが、根幹のテーマは同じなので、実に奥深い物語になっています。生物の進化の歴史・・・・探求・・・・そう言った好奇心や冒険心をくすぐる名作海洋作品です。
僕は原作と映画のビデオ両方所有していますが、今見ても内容は凄いし、映画の映像美は見ていて必見です。
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